結成のインスピレーション 1

わたしたちの出逢いはハノイです。


                                                                                             Photo by Jessie

お互い海外駐在員の家族としての赴任、滞在でした。

滞在中、もとこは女声コーラスグループの指導をしておりました。

そこへなおこが赴任してきました。


ピアニストであるという事を実は隠していたらしいのですが、

なぜかもとこの耳に入り、万年人材不足コーラスの

伴奏をお願いしたことから不思議なご縁がはじまりました。


そのあとは同じレジデンス(マンション)という事もあり、

いろんな交流がごちゃまぜに入り組むようになったのですが、

この段階ではまだ指導者と伴奏者。頼れる音楽仲間の一人という関係でした。


転機はなおこ一家の転勤です。もとこより遅くハノイに来たというのに

なおこはさっさとバンコクへスライド異動が決まってしまいました。


伴奏はとても責任の重い、大変な役割です。

音楽仲間と話し合い、

何度かやっている同好会レベルのコンサートではなく、

前々からなおこが開きたがっていたレベルのコンサート、

つまり、お客様が聴いてよかったと心から思ってくれるコンサートを

お礼とお別れの代わりに開催しようということになり、

アオザイ姿での春のコンサートが実現しました。


コンサートは大評判になりました。

メンバーへ再演を望む声が多く届けられ、

アンコール公演が決まった時にふと、

「そういえば2人だけでやったことってなかったよね??」

という話になって。

立ちっぱなしで打ち合わせしていたので疲れたもとこが何気なく、

なおこの座っていたピアノ椅子に背中合わせに座ったんですね。


そして、一曲、音合わせ。

なにを歌ったかはもう覚えていませんが、その時、お互いに受けた衝撃

今でも忘れません。


その瞬間は

お互いが混じり合い、ひとつの存在としてメッセージを届けていました。

なおこはピアノを弾いているのにもとこの中を通り、歌も同時に歌っている感覚。

もとこは歌っているのになおこの体感覚もすべて持ち合わせ、ピアノも弾いている感覚。


自分はやりたいようにやっているのに

相手はピッタリと同化し、主張してぶつかることなく、

自然と曲が流れ、情景が進んでゆく。

しかも一人でやるときとは段違いに自由で豊かに鮮やかに。

感情の盛り上がり、小さなささやき、すべてが打ち合わせ無しなのに同時進行。


不思議な充足感に包まれ、幸せでし た。

もとこはなおこで、なおこはもとこでした。


演奏が終わった後、しばらく2人とも無言でした。

「合わせてくれてる?よね?」なんて聞かなくてもわかっていました。

ー合わせようと思って演奏なんてしてないー


                                                                                                                   Photo by Naoko M.

MONA’s MUSIC

MONAはハノイ駐在中に出逢ったVocalもとこ(MO)とPianoのなおこ(NA)による音楽ユニットです。 音楽を通じてみなさまの心に寄り添い、時には凝り固まってしまった感情を押し流す手助けをしたい。 クラシックのテクニックを土台に様々なジャンルから選んだ優しいメッセージ曲をお届けしており、 「魂のマッサージ」と称される演奏活動を行っています。